テニスラケット選びは、打感とコントロールがなにより大切。
だけど、大事な場面で力んじゃう、歳を重ねて疲れやすくなった、などの理由で「もう少しだけ楽して飛ばしたい」なんて人も多いのではないのでしょうか。
僕もその一人なのですが、ラウンド系や中厚のラケットに切り替えるほどではなくて、文字通りちょっとだけパワーが欲しいんです。
そこで、コントロール系ラケットながらフェイスサイズが大きい「ちょいデカ薄ラケ」なるものに着目してみました!
4本を打ち比べてみて、扱いやすいパワー感があるスペックだと感じたので、その魅力やメリット・デメリットについてご紹介していきます!
ちょいデカ薄ラケの定義(スペック)とその特徴
最初に、このページでの「ちょいデカ薄ラケ」の定義(スペック)について説明します。
- 面サイズ:101インチ以上
- フレーム厚:23mm以下
ちょいデカ薄ラケのポジションとしては、メーカーが展開するシリーズの中でメインモデルから一歩外れた位置に属しています。
コントロール系シリーズで言えば、98インチと100インチのタイプがメインモデルで、ちょいデカ薄ラケはその亜種といった感じですね。
ちょいデカ薄ラケの頼もしいところ
フェイスサイズが大きいので、ボールの勢いを保ちやすい
ラケットフェイスの先端気味で打つのが主流の現在。
それはちょいデカ薄ラケでも同じですが、多少外したとしてもごまかしがききやすいです!
面圧が低くなりやすく、ボールを掴む打感
ストリングパターンは変わらずフェイスサイズが大きくなっているので、ストリングとストリングの間隔が広いです。
100インチのラケットと同じテンションで張っても面圧が低くなり、インパクトでたわみを感じられます。
速いスイングじゃなくても、スピンがかけやすいといった点もポイントです!
ちょいデカ薄ラケの足りないところ
どうしても振り抜きやすさは劣る
物理的に大きいので、こればっかりはしょうがないですね。
振り抜きやすい形状であっても、98インチと比べるとどうしてももたつく感じがあります。
ラケット重量が軽いモデルが多い
ちょいデカ薄ラケは、300g以下のものがほとんど。しかもトップライトになっているので、ネットプレーで少し使いづらいです。
ただ、軽いラケットは重さを足せるので問題ありません!個人的にも重さを足して使う前提としてレビューしています。
重さを足す方法については、こちらの「グリップチューブによるバランスや重量の変化や効果」をご参考ください
比較する4本のラケットスペックを見てみよう
面サイズ | フレーム厚 | 重量 | |
PERCEPT 104 | 104 | 22.0 | 290 |
CX200 OS | 105 | 21.5 | 295 |
GRAVITY TEAM | 104 | 24.0 | 285 |
GRAPHITE 107 | 107 | 21.5-20-17.5 | 305 |
くわしいレビューは個別ページで紹介しているので、ここではラケットの印象をかんたんに語ります!
そつなくこなせるPERCEPT 104(パーセプト104)
パーセプト104は、しなるフレームながら打った感触をしっかり感じられるラケット。
今回紹介する中で、唯一フラット系ボールを打ちやすいのが特長です!
スライスもラケットに乗せて運べるので、タッチ感を必要とするショットにも向いていると思いました。
苦手を補えるCX200 OS(シーエックス200オーエス)
CX200 OSは、一言で言えばシンプル。スペックの通り、CX200からフェイスサイズだけが大きくなったような打ち応えがあります。
紹介する中では一番くせがなく、過度じゃないレベルで自分の実力を底上げしてくれるサポート感が◎。
柔らかさがありながらも芯のある打感は、ほかのCXシリーズと共通しています!
柔らかさ際立つGRAVITY TEAM(グラビティチーム)
グラビティチームは、しなって飛ぶ打感が一番強く感じられるラケットです!
厳密には、自分が決めた「ちょいデカ薄ラケの定義」からフレーム厚が1mmオーバーしています。
ただ、フレーム自体がかなり柔らかいのが特徴で、その分パワーロスがあることから実質的に22mmくらいのラケットを打っているように感じるのでOKとしました!
意外とスピンがかかるGRAPHITE 107(グラファイト107)
グラファイト107は、フレームのしっかり感とフェイスサイズを活かしたスピン性能の高さが魅力のラケット!
フェイスサイズ以外は、全体的にややハード寄りのスペックとなっています。
4本の中でもスピンのかけやすさは随一ですが、逆にパワーは一番控えめといった印象です。
ショット別で比較していきます
ストローク編
CX200 OS≧パーセプト104>グラファイト107≧グラビティチーム
「CX200OS」と「パーセプト104」の二本は、とにかく安定性が高いです!
ボールを捉えやすく、パワーがありすぎての暴発もしないので、一球一球きちんと打ち続けることができます!
「グラファイト107」は、スピンをかけやすいのでコートに収めやすいものの、速いペースになると押されることがあり、少し物足りなく感じました。
「グラビティチーム」は、パワーもコントロールも問題なし!ただ、柔らかさゆえにラケット全体がぶれるときがあり、この打感に慣れるまで少し時間がかかりそうだなと。
ネットプレー編
パーセプト104>グラビティチーム>グラファイト107>CX200 OS
「パーセプト104」は、いい意味で絶妙に飛びにくく、ボールをふかしてしまわないので安心です!フレームがしっかりしているので、力を加えれば打ち負けないのも◎。
「グラビティチーム」は、1回ボールをキャッチするかのような掴む感じが強め。
ちょっとスイングして、スライスをかけて返すボレーがかなりしやすいです!
「グラファイト107」は、コントロール性が抜群。来たボールを返すには問題ないけど、勢いを加えようとするには、やや大きくスイングする必要ありました。
「CX200OS」は、意外と飛んでいっちゃったり逆に飛ばなかったり。打感に優れているので、コントロールはさほど求めず、ボールを返すのがメインの人であれば、そこまで気にならないかもしれません!
サーブリターン編
グラビティチーム>パーセプト104>CX200 OS>グラファイト107
「グラビティチーム」は、ヘッドを走らせやすく、思い切ったサーブが打てます!スライス・スピンともに回転のかかりがいいです。
「パーセプト104」、ややコントロール寄り。ただ、スイングした分はスピードが出るので、とても扱いやすいです!
リターンについては、速いサーブが来たときはブロックしたほうが安定して返せました。
「CX200OS」は、可もなく不可もなくといった印象。使いにくいところは無いものの、グラビティーチームとパーセプト104が良すぎることから、3番手となっています。
「グラファイト107」は、パワーが少し足りない感じ。しんどくはないけど、自分から打っていかないとスピードは出ないので、ほかのラケットほどかんたんとは言えないなと思いました。
ちょいデカ薄ラケの比較まとめ(向いている人・向いていない人)
「ちょいデカ薄ラケ」とするラケット4本を打ち比べてみると、打感やスピン性能に違いはありますが、全体的にややパワーが加えられつつ、技術的なシビアさも緩和されているといった印象を受けました!
それを踏まえて「向いている人」と「向いてない人」をまとめると下記のようになります。
総評すると、ボックス系の打感はなるべく変えずに、少しだけパワーを助けてもらいたい人が使うべきラケットスペックです!
コントロールを重視するなら「GRAPHITE 107」
フェイスサイズが大きいと言えど、パワーは控えめ。コントロール性能をベースに、ボールの飛びよりもスピンを求める人に合ってるラケットかと思います!
グラファイト100を比較対象とするなら、ボールもよく飛ぶし、このグラファイト107のほうが断然かんたんに扱えます。
ただ、今回のちょいデカ薄ラケの趣旨からは、少し外れるかなという印象。「楽したい」ではなく「極めたい」と考える人向けです!
安定性を重視するなら「PERCEPT 104」
程よいパワー感があり、ショットを問わずオールラウンドに使えるのが魅力のラケットです。
カッチリ感の強いパーセプト100に対して、パーセプト104はしなり感のあるパーセプト97にパワーを足したモデルといった印象。
フラット系が得意なので、ガンガンとスイングする人よりも、来たボールに合わせてスイングする人に向いていると思います!
ストロークに重点を置くなら「CX200 OS」もあり
基本的には、パーセプト104と似ているラケット。ただ、スピン系のストローカーにはCX200 OSのほうが向いているかなと!
近いポジションにあるCX400 TOURはパワフルさが売りで、CX200 OSは多少のずれをカバーしてくれる懐の深さが売りになっているのかなと思います。
打感の心地よさにこだわりたい人や、もともとダンロップのラケットを使ってる人は、CX200 OSをオススメしたいです!
個人的イチオシは「GRAVITY TEAM」
ちょっとだけブレるけど、「しなり」と「飛び」がいい塩梅で両立しているラケット。スイングが速くなくても、柔らかさと打ち負けなさを感じることができます。
当てるだけになっちゃうようなスイングでもしっかり守れて、打っていくときもコントロールが効く印象。
僕と同じように、ストロークよりもサーブとネットプレー全般を重視するプレーヤーにオススメしたいです!
最近のラケットは素材の進化もあって、フェイスサイズが大きくなってもカッチリ感が出せるんだなと改めて実感!
以前は100インチでさえ少し苦手意識があったので、104インチだなんて試打はおろか、選択肢にも入ってきませんでした。
ただ、でもいざ使ってみるとネットプレーを中心とする自分のプレースタイルにはメリットが多かったです!